血圧測定というと腕にマンシェットを当てて測定というのが、一般的イメージなのですがこれってマジの血圧?
体のどこの箇所の動脈圧が一番正確な血圧値なのか?
それは心臓から出ている大動脈。そこの根元。すなわち「大動脈基部の血圧」が該当するんです。この「大動脈基部の血圧」のことを、中心血圧とか、中心収縮期血圧といいます。
左図1をご覧ください。
英国で行われた大規模臨床試験ASCOTのsub-studyであるASCOT-
CAFE試験でアムロジピン治療群とアテノロール治療群の上腕での血圧に差はなかったのですが、中心動脈圧はアムロジピン治療群が有意に低下しており、中心血圧は心血管イベントの予測因子であることが判明しました。
心臓が送り出すときの血圧は、従来でいえば収縮期血圧(上の血圧)を指しますが、厳密にはこの収縮期血圧には「心臓が押し出す駆出圧」と「心臓にはね返って来る反射圧」の2つがあります。
中心血圧では反射圧のほうが高く、上腕で測る血圧の場合は反射圧は肩のあたりで吸収されて駆出圧しか測定できません。
東京医科大学八王子医療センター循環器内科の高沢謙二教授は駆出圧を「善玉血圧」、反射圧は「悪玉血圧」と呼び、さらにこう続けています。
「中心血圧イコール悪玉血圧。高まるのは動脈硬化、高血圧、ストレスなどで血管が硬くなることが原因。さらに戻って来る圧力が直接負荷をかけ続けているので、より心臓病になりやすい」
では中心血圧はどのように測るのか?
専門的にはカテーテルという細い管を、大動脈基部まで挿入して測定するのですが、こんなことをいちいち血圧測定するという目的のために外来で行う事はムリ。
そこで利用するのが、「脈波」です。
脈波とは、簡単にいいますと血圧の波形。
腕の血圧の脈波の形状から、中心血圧を知ることができます。
末梢動脈波形の第2のピークは反射圧のピークに相当し、SBP2(収縮後期圧)といいます。
実はこのSBP2は中心血圧に相関します。
中心血圧のコントロールこそが、本当の意味での血圧コントロールであることがご納得でしょうか?